5.1.4 保険及びセキュリティ
(1)損害賠償能力の確保について
無人航空機を飛行させる場合、飛行中における航空機や他の無人航空機との接触又は衝突、落下等による地上の人又は物件との接触または衝突により、第三者に損害を与えることが想定され、その場合には当該損害を賠償することが求められることがある。このことから、無人航空機を飛行させる場合には、万一の場合に備え賠償能力を確保しておくことが望まれるが、その対応としては、損害保険に加入しておくことが有効と考えられる。このことから国土交通省においては、加入している保険の確認など無人航空機を飛行させる者が賠償能力を有することの確認を、許可・承認の審査の際に行っている。なお、カテゴリー飛行の場合には、飛行の内容に応じた保険に加入していることが推奨される。
無人航空機の保険については大きく分けて以下の種類がある 。
種類 | 特徴 |
機体保険 | 機体やカメラ自体の損傷に対する保険 ※機体が見つからないと保険が適用されないケースがあるため注意すること。 ※荷物輸送においては、輸送物が保険対象に含まれるか確認すること。 |
損害賠償責任保険 | 無人航空機を運航したことによっておこる損害に対する保険(対物・対人) |
(2)無人航空機に係るセキュリティ確保について
無人航空機は、それ自体の財産的な価値を狙った盗難の他、犯罪やプライバシー侵害等の目的で悪用することを意図した運航の妨害や、コントロールの奪取の危険がある。特に無人航空機が悪用された場合、第三者に被害が及ぶことが懸念されることから、無人航空機の所有者及び操縦者は、このような危険から当該無人航空機を守るため、セキュリティの確保に取り組まなければならない。
無人航空機のセキュリティ対策として最も基本的なものは、当該無人航空機及びその遠隔操縦のための機器を適切に管理することで、盗難等を防止することである。
無人航空機にはプログラムに基づき自動又は自律で飛行するものも多くあり、そのようなものは、プログラムを不正に書き換えられる等により、当該無人航空機が奪取されたり操縦者の意図に反して悪用されたりする可能性がある。航空法に基づく機体認証・型式認証に係る安全基準は、無人航空機に係るサイバーセキュリティの観点からの適合性が証明されることも求めており、認証を受けた機体は一定のサイバーセキュリティ対策がされていることから、機体認証・型式認証を受けた機体を利用することで、リスクの軽減策となる。
(3)カテゴリー飛行のリスク評価結果による保険、セキュリティについて〔一等〕
カテゴリーⅢ飛行は、第三者上空を飛行するリスクの高い運航であることから、その飛行の許可・承認の審査にあわせて 、無人航空機を飛行させる者が賠償能力を有することの確認を行うこととしているが、その運航形態に応じたリスク評価を行い、その結果に基づき、必要な保険に加入することが望ましい。また、無人航空機の選定や管理におけるセキュリティ対策においても、運航形態のリスク評価に基づき厳格な措置を講じることを考慮する必要がある。