4.5.3 GNSS
(1)GNSS
GPS (Global Positioning System)は、アメリカ国防総省が、航空機等の航法支援用として開発したシステムである。GPSに加え、ロシアのGLONASS、欧州のGalileo、日本の準天頂衛星QZSS等を総称して
(GNSS Global Navigation Satellite System/ 全球測位衛星システム)と言う。
GNSSは最低4個以上の人工衛星からの信号を同時に受信することでその位置を計算することができる。機体に取り付けられた受信機により最低4基以上の人工衛星からの距離を同時に知ることにより、機体の位置を特定している。なお、安定飛行のためには、より多くの人工衛星から信号を受信することが望ましい。
(2)GNSSとRTKの精度
GPS測位での受信機1台の単独測位の精度は数十mの精度である。測位方式として固定局と移動局の2つの受信機を使用するRTK (Real Time Kinematic) や DGPS (Differential Global Positioning System) などの技術が確立され、これらの測位方式は数cm~数mレベルの精度の高い測位が可能である。
(3)GNSS を使用した飛行における注意事項
自動操縦では手動操作よりも高精度なGNSS測位が必要である。自動操縦のためにあらかじめ地図上で設定した
Way PointはGNSSの測位精度の影響を受けるため、精度が悪化した場合は実際の飛行経路の誤差が大きくなる。GNSSの測位精度に影響を及ぼすものとしては、GNSS衛星の時計の精度、捕捉しているGNSS衛星の数、障害物などによるマルチパス、受信環境のノイズなどが挙げられる。受信機は、周囲の地形や障害物の状況を考慮して設置する必要がある。一般的に位置精度は、水平方向に比べ高度方向の誤差が大きくなる。